その程度なの?のひと言に立ち返る。
「そこまできれいにする必要ある?」入社7年目。お客様に言われたことがあります。その日、排水の数値は基準値を余裕でクリアしていて何も問題ありませんでしたから、意味がわかりませんでした。水をきれいにするのは当たり前だから、逆に水質を悪くする方が難しい。そう答えるとその方は続けて言いました。「山﨑くんの技術はその程度なの?きれいにするだけが管理じゃないでしょ」と。
おっしゃる通りでした。お客様はメーカーですからモノづくりにおける排水処理は単なるコストでしかない。けれど水というのは、薬品を大量に使ったり、電力をたくさん使用してブロワー(※)をふかせば、簡単にきれいになります。きれい過ぎる排水を作るためにムダなお金をかけるのは、モノづくりの世界では言わば「過剰品質」。無闇にやり過ぎず、けれど排水基準ギリギリを満たせるよう、且つトータルでコストを抑える…というのが双方にとって意義のある管理なのです。
それからというもの、どんな水質でも本当の意味で「コントロールできる技術」を身に付けたいと思うようになりました。車のハンドルを切るような微調整です。正直言うとこれが結構難しい。しかし継続できれば、お客様の生産コストを抑えられるし、エステムとしても進化させた技術力に付加価値がつけられます。お客様の経営のサポーターになりながら、水処理のプロとしてノウハウを磨く。そんな二人三脚に醍醐味を感じるこの頃です。
語り手の紹介
山﨑 卓也
1995年入社
自然環境を根っこから変えるアプローチには興味が持てず「せめて人間が汚した水をきれいにして自然に返す」仕事がしたいと思いエステムへ。小さな事務処理ひとつでも「効率」を追求して改善を重ねるマメさが強み。